『夕餉に向けて』
とりあえず、また明日。と言うことで、オフェーリアはそそくさと炭鉱都市を後にした。
「ただいま〜」
「おお!
今日は早かったな」
転移してきたオフェーリアが姿を現すと、ゲルの中ではマティアスが政務を行っている最中だった。
「【ぼくちゃん】は?」
「ダグルが森にハイキングに連れて行ってる。
腕が不自由だとはいえ、身体自体は元気だからな。出来るだけ発散させてやれるようにあちこち連れ出してるよ」
今はもうダンジョン島と呼ばれているこの島は元々自然が豊かで緑の濃い森が多く広がっていた。
【ぼくちゃん】一行は、どうやらその森に出かけたようだ。
「そうなんだ。
お弁当を作ってあげたらよかったね」
「森で獲物を狩って、その場で焼いて食べるらしい。
たまにはそんなワイルドな食事もいいんじゃないか?」
思えばそれも楽しそうだ。
オフェーリアは笑顔を取り戻し、夕食の準備に取り掛かる。
今日はシーフードでまとめるつもりだ。
まずは頭と殻を取ってあった、尻尾をいれると20cmほどもあるエビを取り出す。
マティアスととりとめのない話をしながら、延々と衣をつけていった。
そして油で揚げていく。
出来上がり次第異空間収納に入れていくので食べる時は出来立てなのだ。
次はシーフードチャウダー。
これも食材の下拵えは終わっているので調理するだけでよい。
エシャロットのみじん切りをバターで炒めそこに賽の目切りのベーコンを加える。
そこに火を通して次は人参とじゃがいもの賽の目切りを入れた。
別鍋にイカと貝柱とアサリのむき身を入れ、白ワインと水で一煮立ちさせアクを取ったあと野菜といっしょにして煮込む。
あとはミルクと生クリームを入れて、塩胡椒で味を整えればシーフードチャウダーの出来上がりだ。