『依頼2』
オフェーリアはその依頼に見合う依頼金、ギルドには金貨2枚、実地で捜索にあたる冒険者には手付けとして銀貨20枚+出来高払い、を払い、火竜は査定のため今日は置いて帰ることになった。
冒険者ギルドの職員たちは、一部の受付業務をするものたちを除いて裏では蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。
まずこの町に2人しかいない【鑑定】魔法ができる貴族崩れの男を連れてきて、火竜のおおよその価値を弾き出すことになった。
ゲンは自ら古い資料を引っ張り出し、ベンゲナム・テリイットという人物の記録を探している。
そして冒険者を募る依頼票はすぐに張り出せるように用意された。
「やっと見つけた!!」
オフェーリアは冒険者ギルドから出たのち、炭鉱都市の珍しい佇まいを見てまわり、目についた“石”などを買ったりして楽しんでいた。
特に子供用のカラクリのおもちゃを【ぼくちゃん】の土産に買えてご機嫌である。
そんな時に声をかけられて振り向くと、先ほどギルドで別れてきたグムリがいた。
「あら?」
「突然声をかけてすまない。
だがどうしても“アレ”の話が聞きたい」
見るからに頑固そうなハーフ・ドワーフである。
断るのも面倒なので付き合うことにしたオフェーリアは、目についた酒場にグムリを誘った。
まだ昼下がりだからだろう、客の数はまばらだ。
そんななかグムリは周りに客のいない奥まった席を指定した。
「付き合わせて悪かったな。
だがどうしても……この胸の昂まりを抑える事ができなかった」
まるで恋しい女性に告白するような言葉だ。
もちろんオフェーリアはその“恋しい“対象が何か、よーくわかっている。
「竜の解体は初めてなの?」
「ああ、ワイバーンならあるが」
ワイバーンはマティアスたちが騎乗している飛竜の近接種だ。
ワイバーンの方が小柄だろうか。