『依頼』
「人探しの依頼か。
もちろん受けさせてもらうが、それほど難しいものではないだろう」
「……名前と、20年ほど前にこの町に居たということしかわからないの」
彼の場合、その当時連絡先がここの冒険者ギルドになっていたので、おそらく定住者ではなかったのだろう。
「そちらの記録を調べれば、最低でもある程度の足取りがわかると思うの。
最高なのはここに家を構えていることだけど、そこまで安易に思ってないわ」
「わかりました。
ではあちらで依頼をお受けします」
オフェーリアはゲンに導かれて、冒険者ギルドの受付が並ぶホールに戻っていった。
「では、どなたをお探しですか?」
ゲンが依頼票の原本を目の前に置いてペンを手にした。
「えっと、ベンゲナム・テリイットさんと言って、おそらく冒険者だと思います。
私が知りたいのは彼の今の住居、もしくはその安否です」
「承りました。
では依頼料はいかほどに致しましょうか」
「ちょっと待って下さい。
今回の場合は、人探しだけならDランクでもできるでしょう。でもそれには冒険者ギルドの記録にアクセスできなければ無理ですよね?
どうします?」
ここでオフェーリアが火竜を売る事が効いてくる。
彼女は販売金額の一部を、冒険者の記録を提供することを条件として引き下げることを考えていた。
「それは……
これはご提案なのですが、その冒険者の方の情報へのアクセスと実質的な捜索を分けたいと思うのですがいかがですか」
どうやらギルド側も最適解を導き出したようだ。




