『ポテト大好き』
「ちょうど今頃、ビドーは閉鎖されたころだわ。
一応任せて来たけど、まあ、問題ないと思う」
オフェーリアにとって町自体に興味はない。
できれば一般民は無事であって欲しいが、それを行うのは行政区にいる為政者の仕事だ。
【ぼくちゃん】が帰ってくる前に夕餉の支度を終えるため、今オフェーリアはキッチンにいるが、それに伴ってマティアスが決済前の書類と共にダイニングテーブルに移ってきていた。
魔導オーブンではホロホロ鳥の丸焼きが美味しそうな焼き色をまといつつある。
魔導コンロにかけられた鍋にはオフェーリア風グラーシュが煮込まれていた。
そして今格闘しているのはジャガイモだ。
「ポテトサラダもいいけどマッシュポテトも好物なんだ。
でもポテトサラダも好きだ」
マティアスの控えめなアピールに笑ってしまう。
オフェーリアは調理するジャガイモの量を増やし、メニューにポテトサラダを加えることにした。
「マティアス、ゆで玉子の殻むき、手伝ってちょうだい」
「おう、任せとけ!」
とてもよい笑顔で返すマティアスだった。
「!!」
ゲルに入った途端、オフェーリアの姿に気づいた【ぼくちゃん】は一気に飛びついた。
「【ぼくちゃん】おかえり〜
すぐに夕餉にするから手を洗ってらっしゃい」
それは後ろに続くダグルに言ったに等しい。
今【ぼくちゃん】はひとりで手を洗うことすら難しいのだ。
「今日は少し汚れたので、風呂で丸洗いした方が良さそうです。
少し時間をいただきたいのですが」
「では俺が入れよう。
ダグルも鎧を外してくればいい」
少し時間ができたのでもう一品増やすことにする。