『告白』
夕刻にロバットの家を訪問する約束して、オフェーリアは商業ギルドを後にした。
「少し食材を買い足した方がいいかしらね」
今夜の夕餉は少し趣向を変えて行うことにした。
そのための仕込みのため【ビドー】の門前に放置したままのゲルに向かった。
そしてそこでまた結界に貼りつけられたメモを見つける。
「……あら、少し動きがあったようね」
いつものように乗り合い馬車の職員からだったが、どうやら【反乱分子】と呼ばれる犯罪者の一部を制圧できたようだ。
今も町の中では捕物が行われているが、2〜3日で落ち着くだろうとの事。
オフェーリアはその間にロバット経由の情報を洗うつもりでいる。
「お邪魔します〜
えっと、おひとり暮らしなのかしら?」
報酬に食事を要求された時点で想像していた事だが間違っていなかったようだ。
「はい。
とうとう結婚しませんでしたし、そういう雰囲気になった女性もいませんでした」
「そうだったの」
「ギルドなんかでそれなりの地位になると見たくないものも見えてしまう。
縁が無かったと言うことです」
もちろん彼もまったく清貧な暮らしをしてきたわけではない。それなりの関係の女性もいた。
だが彼は極上の女性を見知ってしまったのだ。
「あの頃の私にとってあなたは憧れの存在でした。
……相手の女性にあなたを重ねてしまっていたのでしょうね」
「あらあら、今の私は夫がいるし子供のような存在もいるの。
友は……次々と私を置いていくわ。
あなたもできるだけ長生きしてね」
少ししんみりした後の夕餉はロバットの年齢を考慮して品数と量を抑えてある。
そしてメニューも大人向けだ。