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『ちょっとお出かけ』

 人族の3〜4才の知能しか持たない【ぼくちゃん】は、自分の左腕がないことを理解しているのだが時折り忘れてしまうようだ。

 今も咄嗟にお手伝いをしようとして、ついやってしまったのだろう。

 悲しそうに項垂れる【ぼくちゃん】の肩に最初に手をかけたのはマティアスだった。


「【ぼくちゃん】お手伝いしようとしてくれたんだな。ありがとう。

 それと、その腕は必ずフェリアが治してくれる。

 そうしたらいっぱいお手伝いしてくれな」


 うんうんと頷く【ぼくちゃん】の眦には涙が溢れている。

 それを見ていたオフェーリアはギュッと奥歯を噛み締めた。



「一度あっちに行ってくるよ。

 戻ってくるつもりだけど先に寝てて」


 マティアスが非難がましく見つめてくる。

 だが定期的に姿を見せておかねば疑念を持たれかねない。

 夕餉の後始末をすべて終えたオフェーリアはマティアスと【ぼくちゃん】を抱きしめてから転移していった。


「……せっかく会えたのに……つまんねぇなァ。

 なぁ、おまえもそう思うだろ?」


 寝酒を手に【ぼくちゃん】を膝にのせたマティアスは男同士本音で語っていた。




 どうやらダンジョン島が所属する獣人大陸と中大陸では時差があるようだ。

 あちらではもう夜の帳が下りていたが、こちらはまだ夕刻のようで薄暮の状態だ。

 そこでゲルから顔を出して周りを観察しているところを乗り合い馬車の職員に見つかって、駆け寄られてしまった。


「朝から姿を見ないので心配していました」


 彼はどうやらたまたまこちらに出てきていたようだ。


「少しゆっくりし過ぎてしまいました。

 まあ別に急ぐ旅でもないですし、通行が開始されるまでここで腰を落ち着けて待とうと思ってます」


 ゲルに篭っていればその様子を推察されることは少ないだろう。



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