『餌付け?』
「うん、美味しそう」
元々熱々で収納していたので、ストーブにかけるとすぐにグツグツと煮えはじめた。
「サービスでこれも入れちゃう」
続いて取り出したのは極太のソーセージだ。
それをミネストローネの鍋にポチャンと落として、そして皆の方を見た。
「今夜は冷えますからこのスープも一緒に食べましょう」
乗り合い馬車の中はストーブのおかげでほんのりと暖まってきた。
それに加えてオフェーリアの申し出で皆の雰囲気が一気に和んだ。
「フェリアさん、このスープめちゃくちゃ美味いです!」
改めてお互い名を名乗り、食事を始めたのは御者を含めた4名。
味気ないサンドイッチだけだった夕食にミネストローネ&ソーセージが加わったことで、途端に豊かなものになる。
それに今夜はまるで真冬に戻ったような寒気に襲われ、外にいるものは下手をしたら凍えてしまうかもしれない。それほどの寒さだった。
「たくさんあるからおかわりもどうぞ」
オフェーリアも誰にでもこのようにするわけではないが、商人Aには貴重な情報をもらったわけだし、この後も世話になるかもしれない。
それを思うと大したことではない。
「ありがとうございます。
しかし凄い空間収納ですね」
収納魔法。それは商人が、喉から手が出るほど欲するものだ。
だがその魔法を持つものは非常に少ない。何しろ魔法自体使えるものが少数なのだ。
「私は人族ではないからね。
以前は家ごと収納して持ち歩いていたのよ」
「そうか、エルフだから……」
厳密にはエルフではないが普段、魔法族はそれで通している。
オフェーリアはにっこりと微笑んだ。