『アムリタの素材2』
「じゃあ【ぼくちゃん】
今日は一日お出かけしてくるから、【ぼくちゃん】はいい子でお留守番していてね。
わかった?」
【ぼくちゃん】は少しさびしそうだったが、小さく頷いた。
「ほら、これはこうして遊ぶのよ」
それは持ちやすい大きさで色々な形にカットされた木材、いわゆる積み木だ。
口に入れると問題なので色は塗っていないが【ぼくちゃん】は興味津々で触っている。
「【ぼくちゃん】をお願いね」
もちろん留守番には世話役及び監視役としてダグルがいて、もうすでに気持ちが積み木の方にいっている【ぼくちゃん】の面倒を見ることになっていた。
オフェーリアは今日、中大陸のいくつかの国の王都を廻って【ツブネラアロン】の花粉を探してみるつもりだ。
前回オフェーリアがアムリタを調薬したときは、【ツブネラアロン】を偶然手に入れた。今回も偶然に賭けてみることにしたのだ。
そしてこれで手に入らなければ……採取に向かうことにする。
「で、やっぱり世の中そんなに甘くないってこと」
【ぼくちゃん】の待つダンジョン村に戻る前に王宮に寄って、マティアスに愚痴るオフェーリア。
彼にとって見たことはおろか聞いたことすら無い希少な素材を探して、文字通り中大陸中を飛び回ったらしい。
「それの生息地はわかったのか?」
「う〜ん、それがはっきりしないんだよね。
前回のは中大陸産だとはっきりしてるんだけど。
どこかの大学の薬学部にでも行った方が早いかな」
ここ何十年か避けてきた場所だが【ぼくちゃん】のためならしょうがない。