『嬲る』
「いっそ殺してくれ!!」
最後のひとりとなった冒険者パーティーのリーダーは一瞬失っていた意識が覚醒して、そして叫んだ。
獣人大陸北部の出身である彼ら6名は、その地方ではそれなりに有名な冒険者パーティーだった。
そんな彼らが王都に進出して初めて受けたのが『竜人国のダンジョン探索』だった。
……もし彼らが王都に来てそれなりの時間を過ごしていたなら詳細な情報を得ていたかもしれない。
だが彼らは知り得た情報を都合よく繋ぎ合わせて破滅へと向かっていったのだ。
「特別な魔獣?」
「ああ、何だかそいつだけ鎧を着ていてそれに貴重なメダルが付いているらしい。
どうだ?今回のダンジョン行の目玉になると思わないか?」
「その“特別な魔獣”とはどうやって遭遇するんだ?」
「それだがな、そいつは道に迷った者の前に現れるんだと」
「ほぉ〜
弱った冒険者を襲うのか?」
彼らはこのような雑談をしていてダンジョン入場時の注意を聞き流してしまった。
「そいつはどこに出るんだ?」
「それは色々らしい」
「よし、今回はその“特別な魔獣”討伐をメインに、お宝を頂こう」
こうして身勝手な計画が立案され、そして彼らの運命を定めていく。
たった一匹の魔獣を討伐しただけだった。
それなのに何故こんなことになった、と……
「あなたたちにはダンジョンのルールを守らなかった罰を受けてもらいます」
オフェーリアの前には3名の冒険者が転がっている。
もう何時間も前からウインドカッターで切り刻んでは、治癒魔法で治療してまた切り刻む、を繰り返していた。