『冒険者パーティー2』
『特別な魔獣』は何の警戒もなく近づいてきた。
雑木林の中でそれらしく座り込んでいると、ひょこひょこと近寄ってきた魔獣は一瞬首を傾げ、そして水筒を差し出してきた。
「あっ、ちょっと待て!」
焦ったようなメノンの声がする。
だが魔獣の背後から振り下ろされた刃は肩から腕を切り飛ばし、また別の仲間が袈裟斬りで魔獣の着込んでいた軽鎧ごと切りつけた。
「よし、やったぞ」
メダルが嵌った軽鎧を乱暴に剥いで魔獣を蹴り飛ばす。
皆は歓声をあげているがメノンだけは渋い顔をしていた。
「何だ?どうした?」
「ちょっと拙いかもしれない……
とりあえず、早くここから離れよう」
もうすでに軽鎧は用意してきた布袋の中だ。
そして水筒を握ったままの腕を拾い上げ、それも袋の中に入れている。
「そんなのどうするつもりだ」
「いや、討伐証明になるんじゃないかと思って」
確かに珍しい魔獣なので珍品として値がつくかもしれないが、悪趣味だとしか思えない。
だがここで押し問答していても仕方ないので彼らは一旦先に進むことにしたのだ。
冒険者パーティーのリーダーは、のしかかってくる圧に逆らうように頭を上げた。
そこには通常でも見上げるような大男を従えた、絶世の美少女がいた。
「其方、何故私の愛玩動物を傷つけた?」
リーダーの男は理解した。
今自分たちをひれ伏させているこの圧は、彼女の怒りなのだと。




