『調理3』
竜人はよく食べる。
オフェーリアがマティアスといた時、その食欲にびっくりしたものだが、兵士たちはそれに輪をかけてよく食べる。
今日この夕食に十分な量を用意したつもりだが、その勢いに不安になってくる。
追加の揚げ物を揚げるべきか、それとも何か別のものを出すべきか、悩むところだ。
「フェリア?どうした?」
魔導コンロの方に移動したオフェーリアに気づいてマティアスがあとを追ってくる。
「料理を何か追加したほうが良いかと思って」
基本オフェーリアは料理を振る舞う時、お腹いっぱい食べてもらいたいと思っている。
「じゃあアレ、アレを久しぶりに食べたい」
マティアスが言ったのは【ポテトサラダ】だ。
マッシュポテトはできてもマヨネーズを作ることができないので、彼にとってポテトサラダを食べるのは数十年ぶりなのだ。
「そうね、マティアスはアレがお気に入りだったもんね」
それほど好きなマティアスにマヨネーズの作り方を伝授しなかったのは理由がある。
それは玉子の鮮度だ。
オフェーリアが作る場合は都で購入した新鮮な玉子を使うが、それ以外では鮮度の概念すらなく、管理することもない。
玉子の生食はそのあたりがきっちりしていないと食中毒まっしぐらなのだ。
「じゃあ、きゅうりとハムのポテトサラダ……
これなら作り置きがたくさんあるから、パンも追加するね」
マティアスの喉が鳴った。
「うおぉぉ、何だこの味は!?」
どうやらポテトサラダは好意的に受け入れられたようだ。
中には涙を流して食しているものもいる。




