『調理2』
大鍋に大量の食用油を入れて、慎重に温度を上げていく。
パン粉をパラパラと落としてすぐに上がってくるくらいになって、下拵えしたカツを投入する。
すると“ジュー”というとてもよい音を立てて、油の中を泳ぐカツに熱が通っていく。
それが浮き上がるまで揚げて、油切り用のバットに上げて余分な油を落とす。
「うふふ、コレも味見していいよ。
でも熱いから気をつけてね」
もう我慢なんてできるはずがない。
料理の助手である3名の兵士はオフェーリアの言葉に甘えてカツを手に取った。
「熱い!」
「ほら、言ったでしょう?」
オフェーリアは若干呆れ気味だ。
「何だコレ!?
めちゃくちゃ美味いぞ!!」
初めてカツを口にしたものは興奮して目の色が変わっている。
何しろ高級食材であるミノタウロスのカツだ。
まだソースはかかっていないが、その肉の旨味と下味だけでも十分美味しい。
野営地からすぐそこの現場を視察して戻ってきていたマティアスたちは、食欲をそそる揚げ物の匂いに思わず生唾を呑んだ。
「今日は揚げ物が食えるぞ!」
マティアスのその言葉に歓声が上がる。
「おかえり〜
皆連れて帰ってきた?」
「ああ、支度はどうだ?」
「うん、どんどん揚げていってるから、食卓の準備をお願い。
あなたたち、シチューを温めて配膳して」
3人のうちのひとりは大量のリンゴを洗っている。これは元々野菜を好まない竜人のために、栄養バランスを取るためメニューに入れた。
彼らはこのリンゴを豪快に一口で食べる。
作業をしていて戻ってきたものたちも手をきれいに洗って配膳を手伝い始めた。
今日初お目見えのチーズマカロニにも興味津々だ。