『調理1』
5階層に入ってすぐの場所の木々が伐採され整地されている。
そこに兵士たちの宿舎であるテントが立ち並び、この階層の本部が設営されていた。
このテント村?がオフェーリアのゲルと違うのは、就寝時以外は皆外にいることだろう。
今はまだほとんどの兵士が現場で作業中だ。
「よし!
私は夕食の準備を始めるわ。
マティアスはちゃんと隊長さんの報告を聞くこと。
近場なら視察もオッケーよ!」
「ああ【ぼくちゃん】案内してくれるか?」
マティアスの頼みを聞いてまた嬉しそうに飛び跳ねた【ぼくちゃん】は彼の元に駆け寄っていった。
「さて、と。
そこのあなたたち、3人ほど手伝ってくれる?」
今この野営地にはおよそ30名の兵士たちがいる。
その全員分の夕食を準備するつもりなのだが、実はオフェーリアは昨日までの間に大方調理し終わっていたのだ。
汁物であるシチューは食べ応えがあるように大きめにカットした根菜がゴロゴロと入っているもので、あえて味付けはシンプルにしてある。
そのシチューに関してはあとは温めるだけだ。
調理場として用意してあった更地に携帯用簡易コンロとオーブンがずらりと並んだ。
これからオフェーリアは揚げ物と、準主食であるマカロニ料理をするのだがタイミングを図っているところだ。
「揚げたて、できたてを食べて欲しいものね。
さて、大鍋にお湯を沸かしてくれる?
そうね……この鍋ふたつ分ね」
この魔導具の最高火力ならすぐに湯は沸く。
オフェーリアは異空間収納からマカロニが入った大袋を取り出した。
「これを全部、半分っこにして両方の鍋に入れてちょうだい。
おっとその前に……」
オフェーリアが各鍋に塩をひと掴み入れて、あとを促す。
あとはしばらく、茹で上がるまで待つだけだ。




