『再会』
「確認のためにもう何泊かした方がいいと思うんだけど……どう?」
エペランドタイガーがどのくらいで復活するか、この際だから確かめておこうということだ。
「そうだな。
これも今回の目的のひとつだったし、しっかり確かめて行こうか」
一度ゲルを撤収し、普段は回らないルート以外の場所を巡って、他の魔獣の出現がないか観察してみたが、今のところコボルトとトカゲちゃんしか見かけない。
そんななか、貴重な薬草の群生地を見つけたり、食用になる果実を見つけたりで新たな発見に胸躍らせた。
「ほとんど丸一日でおいでなすったわね」
外では結界に激突を繰り返す虎ちゃんが、その目に憎悪の光を宿している。
「これでエペランドタイガーの“湧き”は一日周期だということだな」
「そうだね。念のためにもう一晩様子を見ましょう。それで変わりがなければ5階層に降りようか」
結果的にオフェーリアの異空間収納には3頭のエペランドタイガーが収められることになった。
翌々日、ふたりが5階層に降りていくと、すぐに【ぼくちゃん】が姿を現して飛びついてきた。
その喜びに5階層にいた兵士たちがびっくりしている。
「【ぼくちゃん】皆が世話になったわね。
本当にありがとう」
その場で飛び跳ねて喜びを表している姿は、まるで猿そっくりだ。
「うんうん、今日も美味しいクッキーを持ってきたよ。
それと他にもプレゼントがね、あるんだ」
もう獣はオフェーリアが伸ばす手を拒まない。
その頭を撫でられてうっとりしているようだ。
「さあ【ぼくちゃん】もいっしょに野営地にいきましょう」
もうすっかり獣は、オフェーリアのペットと化していた。




