『再アタック?』
「え?【ぼくちゃん】が?」
久々にダンジョン島(仮)にやってきたオフェーリアが、話を聞いて目を丸くしていた。
「はい、第五階層の密林で遭難した兵士たちを水場に案内し食べ物を与え、翌々日には第四階層への階段まで案内したそうです」
「……そう、その兵士たちの状態は?」
「はい、ひとり衰弱の激しいものがおりますが、後は回復しております」
懸案だった第五階層だが、やはりこういう事態が起きてしまった。
第四階層はだだっ広いが見通しが効くため、今はもうルートが完成しつつある。
だが第五階層は広さの上に密林独特の障害物の多さに簡単な道が出来つつあるかという状況だった。
「伐採は進んでいないの?」
「お恥ずかしながら、はい。
何しろ大木が多いゆえに」
オフェーリアは隣にいるマティアスを見上げた。
彼はしょうがないな、といった具合に苦笑いしている。
「では私めがお手伝い致しましょうか」
本当は手を出すべきではないのはわかっている。
だが実際に生命の危機に至りかけた事故が起きてしまったのだから四の五の言っている場合ではない。
「ああ、俺はこっちで仕事してるから、気をつけて」
現場で溜まりに溜まった書類仕事に手をつける気になったマティアスとは別行動となる。
片やオフェーリアとしてはよしんばこのまま第六階層以降のダンジョン探索を行いたい気分だ。
「とりあえず今夜は戻って来れないと思うから、でも心配しないで」
「やっぱり俺も行こうかな」
「まあ、マティアスひとりくらいなら抱えて【飛行】べるけど?」
書類の量に萎えかけていたマティアスはおもむろに立ち上がり、猛然とした勢いで装備を着けていく。
 




