『怪我の手当てと夕食』
ほんの擦り傷なのでオフェーリア自らが手当てするわけではない。
しかしその手当ての仕方は側に付いて指導する。
「本来、このくらいの傷ならきれいな水で傷口を洗えば問題ないの。
そしてよく乾かしてからこの軟膏を塗れば、翌朝にはふさがっているはずよ。
この時気をつけるのは、濡れた患部を清潔でない布などで拭かないこと。
そんなことをすれば洗った意味がなくなるから」
「はい!」
「浅い切り傷も一緒よ。
魔獣に噛まれた場合はまた別の対処が必要だから。そうね、ポーションを渡しておいた方がいいわね。
それと解毒剤も忘れずに……」
途中からブツブツと呟きはじめたオフェーリアは、思いついたらすぐに行動だ。
自分のゲルに飛び込むとポーションを始め解毒剤や麻痺や昏睡の治療薬を纏め始めた。
さらに異空間収納に死蔵されていた小容量のポーチ型アイテムバッグを取り出し、ポーションなどを収めていった。
「とりあえず、1班にひとつでいいわね。
将来的にはひとりにひとつ支給したいわ」
いわゆる救急パックのようなものだ。
夕食はあらかじめ調理しておいたミートボールスパゲッティと蕪とベーコンのスープ、パン、りんごとオレンジのカットフルーツ。
どれも量はたくさんあって食べ放題。
一応行軍中なので酒類はないが、オフェーリアの料理は美味なのが評判だ。
現に若い兵士が言葉も発せずにひたすらガツガツと食べ進めていた。




