『変化』
約ひと月の間を経て、オフェーリアとマティアスはダンジョンに戻ってきた。
……このひと月は色々あった。
まずはマティアスとの婚礼だ。
やはり、ダンジョンが発生したことにより被害を受けた島民たちに配慮し、婚儀の後の披露目が簡略化された。
具体的には国民への披露目のパレードが延期され、華美な宴会なども控えられた。
そのかわりふたりの婚儀は厳かに行われ、なんとオフェーリア側にはダイアナが親族代表として出席したのだ。
彼女の最高傑作と言える婚礼衣装を纏って、オフェーリアはマティアスの妃となった。
そして滞りなく初夜を済ませ……オフェーリアが未通女であったことはマティアスを歓喜させ、ダンジョン行が本来の予定より大幅に遅れることとなった。
「ふう、酷い目にあった……」
オフェーリアも女性としては体力のある方だと自認していたのだが、竜人の男の、それも新妻を迎えた新婚の夫というものをみくびっていた。
彼とは以前ダンジョン踏破を共にしたときもずっと主従の関係を崩さないでいた。
彼の方は当時から好意を寄せていたようだが、良くも悪くも鈍感なオフェーリアは一切気づくことなく、この度の告白に吃驚したものだ。
その、拗らせた恋情が解き放たれた結果、さすがのオフェーリアも初夜の翌日は寝込むことになった。
そんなマティアスが落ち着くまでダンジョン探索はお預けで、ひたすらなその愛にうんざりしていたオフェーリアが満を辞してダンジョンに向かうことになった。
「色ボケしてないでしっかり意識を切り替えてくれないなら連れて行かないわよ」




