『ひと休み2』
「一度、王宮に戻った方がいいと思うの」
「そうだな。
思ったよりも長丁場になりそうだしな」
「試験的に中級以上の冒険者を入れて見てもいいかもしれない」
オフェーリアはもう、兵士だけで探索することが無理だと考えていた。
もちろん各階層をひと通り通過することには問題ないだろう。
だがその後の出没魔獣の確認や、例えば第4層のような広大な面積の階層で次の階層に向かうルートを捜索するには人海戦術に頼ざるを得ないだろう。
「参加者には何か特典を与える方向で募集しましょう。
もちろん、何が起きても自己責任だということはちゃんと認識してもらうけど」
おそらく少なくない犠牲者が出るだろうことは想像がつく。
使い捨てのような考えだが、それは冒険者側も折り込み済みであろう。
「では獣人大陸の冒険者ギルドに依頼を出すことにするか。
詳しいことは王宮に戻ってから宰相らと相談することにする」
「そちらの方はお任せね。
さて、私はもう休ませてもらうわ」
天幕から出て行くオフェーリアを、マティアスはただ見送ることしかできないでいた。
いくら【洗浄】で汚れを落としているとはいえ、返り血なども浴びたオフェーリアはすぐに入浴したかった。
なのでゲルに入るとそのままウッドハウスに転移する。
慣れた浴室でゆったりと湯に浸かり緊張を強いられていた筋肉を解していく。
「あ〜 そろそろかな〜」
当初の予定ではとっくに婚儀は終わっている。
だがおそらくお披露目のような派手なことはせず、儀式である婚姻の儀だけを行うのだろう。
衣装はダイアナの傑作というべきドレスを持ってきたが、式本来の打ち合わせなどは何も行なっていない。
「何げに婚儀って初めてなんだよね。
相手がマティアスで良かったよ」




