『ひと休み』
第4層、ここから先はかなりの時間を要することがわかったので、オフェーリアたちは一度戻ることにした。
さすがに現国王と婚約者が長期間行方をくらますわけにはいかないだろう。
深夜に近い刻限になってしまったが、兵士たちはホッとした顔で出迎えてくれた。
「思ったよりも厄介でね」
彼らの王マティアスを差し置いて、オフェーリアが説明を始める。
マティアスとしてもその方が楽なので、オフェーリアに任せて武装を解きに天幕に入っていった。
「4層が少し問題でね。
あれでは初見殺しになりかねないね。
下級の冒険者は3層までって決めた方がいいかしら……」
「フェリア様、明日は我々もお供させていただいてよろしいでしょうか」
「ん?大丈夫だと思うけど?
マティアスに許可を得てね」
そう言って今日の獲物を取り出した。
ミニゴブリン、岩狼、コボルト、角兎、スライム、そして変異種のスライム、トカゲちゃんことアンファレスである。
「ほとんど“湧き”の時と一緒でしょ?
このトカゲちゃんは私、初めて見たので狩っただけ全部持って帰ってきたの」
「ほう、アンファレスとは珍しいですな」
そしてすぐに変異種のスライムに気付いた。
「あ、それ、いいでしょう?
きっと駆け出し冒険者向けの目玉商品になるわよ」
「左様ですな。
これが2〜3日に1匹獲れれば懐が潤うでしょう。
日々の宿賃は岩狼などを狩れば」
「そうでしょ?
このダンジョンの浅層でも十分やっていけると思うの。
でも4層はね」
「4層は?」
「トカゲちゃんが四方八方から一斉に襲ってくるのよ」
オフェーリアと話していた彼、彼は討伐隊の副隊長だが、今の話を聞いて明日の人選を考え始めていた。




