『土木工事?』
ダンジョン縦穴の上、空中に浮かんだオフェーリアの手から内部が黒く渦巻く球体が発射される。
それは空間魔法で生み出された虚無空間、この球体に触れたものは即座にその中に取り込まれてしまう。
それを応用して、オフェーリアは少しずつ縦穴の入り口から広げていった。
その間マティアス以下兵士たちは、ただただその様子を見守るのみ。その恐ろしい効果に身震いをしながらだ。
「この際だから飛竜が出入りしやすいように、少し穴を広げようかと思うんだけど、どう思う?」
休憩のために一旦天幕に戻ってきたオフェーリアが提案する。
彼女は一気に穴を広げて、底に冒険者のための休憩所を兼ねたギルドの出張所を作ってはどうかと言うのだ。
「そうか……そうだな。
それならば重い荷物を持って地上に戻らずに済む」
「それも。
このダンジョンは低レベルからそれなりのレベルの魔獣が幅広く出没するようね。
だから冒険者の方も、駆け出しから上級冒険者までやってくると思うの。
彼らの懐具合に応じて、いろいろな手段で出入りできるといいと思うのよ。
例えば上級冒険者は行き帰り共に飛竜を使うわ。
運賃は安くはないわね?
でも駆け出しは岩肌の階段を使うの。
そんな彼らのための施設なのよ」
「なるほど……」
「じゃあ私、続きを頑張ってくるわ」
その後はひたすらガリガリと岩肌を削っていく作業だ。
途中階段の踊り場なども作りながら、結局縦穴の入り口は当初の2倍近くになり、最終的には円周をぐるりと巡る螺旋階段を含む3カ所の階段が完成することになる。




