『団欒』
「久しぶりの手料理はどう?マティアス」
ゲルの使用権限を復活させて、マティアスは今フェリアと共に遅い目の夕食を摂っているところだ。
「もちろん美味いよ。
懐かしいな……どれほどこの時を焦がれたことか」
「料理くらい、いくらでも作ってあげるから。
うふふ……」
今夜は時間がなかったので、異空間収納にストックしてあった料理を出した。
手抜きとも言えなくもないがマティアスにとってはどれもご馳走だ。
「ああ、美味い!やはりハンバーグはフェリアのしか食えないな」
濃厚なデミグラスソースのかかった、マティアスの手のひらほどの大きさのハンバーグは絶品だった。
「ダンジョン産のミノタウロスとオークジェネラルの合い挽き肉を使ったハンバーグだよ。
こっちが濃厚だから、スープはあっさりめだね」
スープは腹持ちがよいように細めのパスタが入ったスープパスタだ。
中に入っている具は玉ねぎ、にんじん、蕪など根菜が中心だ。
刻んだハムがアクセントになっている。
「懐かしい、優しい味だ」
スープパスタに手をつけたマティアスは感慨深げに呟いた。
「またダンジョンに潜ってみる?」
「あの頃と違ってゆっくりはできないな。
それに王と妃がふたりしてダンジョン探索ってどうよ?」
「確かに」
2人は揃って笑い声をあげていた。
「ん〜
やはりこのゲルは居心地がよいな」
翌朝、マティアスは簡易寝台の上で目が覚めた。
婚儀がまだなので同衾は控えたが側から見ると今更である。
 




