『縦穴 3』
あたりを警戒しながらであったが、縦穴の底に到着するのに4刻ほどかかったようだ。
「これは……自力で降りてくるまで丸一日かかるね」
「ここで野営をする施設を作るべきだな」
「結界石を使えば何とかなると思うけど……」
【ライト】で出現させた灯が3つ浮かんでいて、ここの全容を照らし出している。
どうやらこの縦穴は下にいくほど広くなっていて、底は入り口の倍ほどの広さがあるようだ。
「上を削れば、飛竜も使えるんじゃないかしら。
少なくても大工や石工が行き来するには役に立つと思うわ。
削るくらいなら私がしてもいいし」
新規のダンジョンを冒険者たちが利用出来るようにするにはとても手がかかるというが、ここは相当なものだ。
だが常に魔獣を間引いていかないとまた“湧き”が起きてしまう。
オフェーリアはまず、縦穴を広げることを最優先にすることにした。
「その前に、今日はちょっとだけ中を覗いてみましょうか」
地上の野営地に自分のゲルを出し、オフェーリアはまず汗を流した。
空間魔法を使って浴室まで備わったゲルは、オフェーリアの第2の家とも言える。
「お待たせしたわね。
マティアス、飛竜隊の隊長さんと今回の部隊の隊長さんを呼んでくれた?」
「ああ、今簡単に説明していたところだ」
「飛竜を使った昇降を考えているのだけど、どうかしら?」
飛竜隊の飛ぶところを見ると、垂直移動に問題はないように思うが。
「明日から入り口を広げる作業に入ります。
一度飛竜の訓練をお願いします」




