『!!』
オフェーリアが作るポーションは魔力を混ぜ込んでいるため効果が高い。
その作成の方法を竜人の薬師に伝授する。
ここ数日、そんな事をして過ごしていた。
もちろん竜人たちは魔法を使うことは出来ないが、その身体に多少の魔力を持っている。
その使い方を教えて、彼らが今まで作ってきた回復薬よりは効果の高いものを作成出来るようにしたのだ。
他には魔導具の普及を進めることにした。
ここでの一般家庭などでは、未だに魔導ランプすらない。
これを安価で普及できるように、魔石の調達も含めて奏上してみたのだ。
その他離宮の厨所に魔導コンロや魔導オーブンを提供して、まずはそれを使っての調理に慣れてもらうことにした。
その時ちゃっかりと焼き菓子などを作ることを忘れない。
「フェリア様!大変です!
陛下がお見えになります!!」
オフェーリアが離宮の部屋で調薬の教室を開いていたところ、リリが飛び込んできた。
今のオフェーリアの格好は薬草の汁が染み付いたエプロンをかけ、髪を簡単に纏め上げた姿だ。
「早くお支度を!どうぞこちらに……」
「何を騒いでいるのだ?」
だがすでに遅し。
男の声がして、リリを始め教室に参加していた薬師たちがその場に膝をつき礼をする。
オフェーリアも瞬時に振り返って、そして固まった。
「あ、あなた……」
「やあ、この姿では初めてだな」
そこにはいつもの冒険者もどきの服ではなく、ローブのような長衣に帯を締めた、見知った男がいた。
「……マティアス」
 




