『第3段階へ』
「とりあえず、湧きが止まらないとね」
オフェーリアは漆黒の闇のなか、谷の向こうで蠢く魔獣の群れを睥睨して言った。
「どのくらいかかると思う?」
「……俺には読めん」
「これは結構かかるわよ。覚悟してちょうだい」
こういうケースの場合、ダンジョンの規模は多層のことが多い。
とりあえず湧き出すのが止み、ダンジョンが落ち着いて探索に入れるようになるまでは気が抜けない。
「まあ、ここに本営を置いて、ローテーションを組んでやっていかないと兵士が疲弊するわ」
「明日には追加の飛竜隊が到着する。
大陸に常駐している隊も呼び戻しているところだ」
どうやら竜人国は、半ば連邦化している大陸の国々に完全に属国扱いされていて、飛竜とそれを扱う兵士を常駐させるように強要されているようだ。
「焦らないで。
これはもう根比べのようなものよ。
私たちはどれだけ疲弊を抑えられるか、それに尽きるわ」
その気になれば殲滅魔法で一気に始末する事は可能だ。
だがオフェーリアは出来るだけ素材を残したいと思っている。
10日後、本営はまるでひとつの村のようになっていた。
元々の島民の中でも若い者たちが戻ってきていて、調理などの下働きを担ってくれている。
これは地味に役立っていて兵士たちの負担が減っていた。
そしてダンジョンから湧く魔獣は第3段階に入っていた。
オフェーリアは渋い顔をしてダンジョン穴を見つめていた。
現在湧いているのは、オーク、氷熊、ニ頭犬、棘蜥蜴などだ。
そしてそろそろ飛行型の魔獣が発現してもおかしくなく、オフェーリアは警戒している。




