『この後の考察』
マティアスはひとつ、ため息をついた。
途端に憔悴して見えるから不思議なものだ。
「ああ、フェリアの想像している通り【ダンジョン】だ。
上空から近づいて確かめたから間違いない。
俺がこちらに戻ってくる時は少し落ち着いていたが大穴が開いていて、魔獣が途切れなく溢れていた」
「やっぱりそうなのね。
で、上はどうするつもりなの?」
「どちらにしてもしばらくの間はあそこには住めない。
せめて魔獣が溢れなくなるまでは島民を避難させるつもりだ」
オサラ島の島民の暮らしは主に漁業によって支えられていた。
その魚は自分たちが食べるだけでなく、今オフェーリアがいる本島などにも売られ、自島では採れない農産物と物々交換していたのだ。
今現在彼らは近くの無人島に一時避難しているのだが、詳細はマティアスも知らなかった。
「そうね、それしかないわね。
でも上手く開発すれば、この国は発展する事ができるわよ。
もしもその気があるのなら私もお手伝いするのはやぶさかではないわ」
「どういうことだ?」
マティアスはピンとこないらしい。
「そこまで持っていくには手がかかるけど【ダンジョン】として公開するのよ。
あとは……想像つくでしょう?」
「なるほど。オサラ島に、ひいては竜人国に人を呼ぶのだな?」
「そうよ。
そうすれば勝手にお金を落としてくれるわ。
できればオサラ島へは飛竜なんかで運ぶようにして、本島に宿や買い取りの施設を増やすの。
人々の暮らしの変化を危惧するなら、すべてをオサラ島に固めてしまってもいいわね」
黙り込んでしまったマティアスは、ずっと考え込んでいる。
「とりあえず、次はいついくの?
私も同行するわ」
久々に暴れるつもりのようだ。
 




