表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/617

『オフェーリアの戦略』

「フェリア様、どうして真のお姿を晒されたのですか?」


 侯爵夫人たちの乗った馬車を見送ったジルがオフェーリアを店に押し込んで、怖い顔で尋ねてきた。


「これは戦略的なものよ。

 こうして付加価値を上げて販売するの。

 上には許可を得ているわ」


「でも危険ではありませんか?」


「むしろ、この姿を見せた方が安全でしょう。

 だってこの町の住人すべての目がこちらに向くのよ?

 これは見守られているのと同じじゃない?」


 たしかに人攫いによる誘拐の危険性もあるが、オフェーリアは今日侯爵夫人の御用達となった。

 そんなハイエルフを狙うものももちろん出てくるだろう。

 だがオフェーリアは教官たちと話し合い、この結論に至ったのだ。


「メリット、デメリット、どちらもあり得るけどプラスの方が多いんじゃないかしら。

 考えてもみて?

 こんな小娘が富裕層に向けた商売をしている……そのやっかみの方が厄介だと思うわ。

 でもこれが、ハイエルフが相手なら変わってくる。

 何しろ私は魔法族の方たちと伝手があるわけだから」


 たとえば砂糖だ。

 砂糖など魔法族にとってはただの調味料に過ぎない。

 先ほど侯爵夫人たちに出した薔薇の花を形取った花砂糖にしても、都なら少々気の効いた家になら珍しくもない。

 その砂糖がここでも今日から取り引き可能になったのだ。

 あの侯爵夫人が目端の利くものなら、明日、商業ギルドへの入金と前後して入手を申し出てくるだろう。

 オフェーリアはそう睨んでいる。



「そうそう、ジルに頼みがあったのよ」


 オフェーリアがジルに向かって、おいでおいでしている。

 あまり良い予感がしないでもなかったが素直に近づくと、いきなり【洗浄】で化粧をとってしまった。


「え?」


「あなたには新商品のテストに付き合ってもらうわ。

 魔法族の方々や私たちエルフにはまったく問題ないのだけど、あなたたちはどうかわからないのよね。

 大丈夫、もしもの事があってもちゃんと治してあげるから」


 ガシッとジルの腕を掴んだオフェーリアの力は、とても少女のものとは思えないほど力強かった。

 そのことにジルは恐怖すら感じたのだ。



 すっぴんのジルを帰したあと、オフェーリアは店に鍵を掛け、結界を張った。

 そして2階に上がって、今度は寛ぐために紅茶を淹れた。今度はロイヤルミルクティー。

 甘〜く作って、ふうふうしながら啜ると疲れがとれていく感じがする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] すぐにテストしないなら なぜいきなり洗浄かけてジルの化粧取ったし(笑) すっぴんで帰されるジルの不幸よ(笑) 寛いでる場合じゃないぞよ。 なにか洗浄後の描写が抜けてませんかね?
[気になる点] 金の出入りに興味がなかったのに、金儲けに走るのですか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ