『【探査】』
ブランデルグの様子を始終見ていなくてよくなったので、今更ながらオフェーリアは消えた馬車の捜索を空から行うことにした。
それは先日ファントから聞いた、街道には隠された分かれ道があることがあって、その先には一般には知られていない盗賊団の村がある場合があるからだ。
今回まったく消息が掴めないのはそれでないかと言っている。
「じゃあ、ちょっと行ってくるわ。
ブランデルグをお願いね」
【飛行】魔法を初めて見た男たちから驚きの声が上がる。
それをチラリと見たオフェーリアはぐんぐんと高度を上げ、飛び去っていった。
上空からみると森の木立が邪魔をして、馬車が通れるほどの道はまったく窺えない。
だが集落となれば隠しようがなく、丁寧に探していけば見つかるはずだ。
さらにオフェーリアには【探査】がある。
「これは結構遠そうね」
見渡す限りの大森林。
皆がいる街道から円を描くように飛んで【探査】をかけた結果、大体の方向は掴んだがそれもかなりの距離がある。
「まあ、今から行ったとしてもかなりの時間が経っているし、すでに身代金と交換されてるかもね」
ちなみに身代金だけ取って人質を返さないという事は滅多なことがない限りあり得ない。
なぜならば、一度そのような噂が流れてしまえば、彼らの『誘拐屋』としての商売が成り立たなくなるためだ。
現にこの時すでに商人の2人は解放されていて、本来の本拠地であるバイショーに戻っている。
「とりあえずその【誘拐屋】の村?アジト?の場所だけ特定しておこうかな」
【探査】で反応のあった方向に向かって、オフェーリアは速度を上げた。




