表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
325/617

『ブランデルグ2』

 回復を促すために飲ませていた薬湯を止めると、目覚めていることが多くなったブランデルグは暇を持て余していた。


「じゃあ何か本でも読んでみる?

 あまり根を詰めても困るから、軽い読み物がいいかしらね」


 そう言って渡された、紀行文をまとめた小冊子を前にブランデルグは固まっている。


「どうしたの?」


「……俺、読み書き苦手って言うか、ほとんど出来ないんだけど」


「ええっ!?」


 びっくりである。


「それでどうやって冒険者をしているの?」


「ん〜と、まああれだ。

 冒険者ってやつは自分の名前が読み書き出来て、あといくつかの文が読めて書ければやっていけるんだよ。

 それに最近はそういうのはジニーがしてたし……」


「ふうん、そんなもんなんだ」


 確かに、中大陸でもそうだったが平民の識字率は決して高くない。

 まだ町に住んでいる者は子供の頃教会などで行われている学舎に通う機会があるが、農村出身者などはぐんと低くなる。

 おしなべて冒険者とは田舎から一旗あげようとやってきたものが多い。

 そういった連中の識字率は推して知るべし、なのだ。


「じゃあさ、教えてあげるからやってみない?

 まだしばらくは動けないし退屈でしょ?」


 いつもならそんなことは面倒くさいと拒否するところだが思うところがあったのだろう。


「そうだな、お願いしようかな。

 いや、お願いします」


「はい、じゃあ……」


 ここからオフェーリアによる、ブランデルグへの授業が始まった。

 それでわかったことだが驚くことに彼の計算能力はそれなりに高かったのだ。

 聞けば冒険者にまず必要なのは計算能力であって、これがなければ素材の売買の時に誤魔化されて損をすることが多いからだそうだ。


「必要に応じてそうなった、と」


 オフェーリアは何とも言えない表情をしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ブランデルグちゃん素直すぎてオフェーリアに色々改造されちゃいそう(何が?とは言わない)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ