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『熱』

 その夜、ブランデルグはまた熱をだした。

 それも昨夜よりも高いようで苦しそうだ。

 オフェーリアは調薬用の蒸留水に塩と砂糖を入れた薬水を作り、こまめに飲ませ続けた。

 それで出る汗が熱を下げるのに効くのだ。

 何度か寝巻きも着替えさせながら、その様子を見守った。


「ちょーっと、あんまりよくないかな〜」


 寝ついたところを見計らってゲルから出てきたオフェーリアは、ちょうど見張り番だったファントにブランデルグの付き添いを頼み、しばし休憩する。

 湯を沸かし、紅茶を淹れてひと息ついたオフェーリアは先ほど看破した肺の状態を思い浮かべた。


「肺炎だね。

 さて、どう手を打つべきかね」


 どの薬が一番効果を発揮するか、解熱剤や造血剤との飲み合わせはどうかと思いを巡らせていると、寝所としているゲルからジニーが出てきた。


「よくないのか?」


 オフェーリアの様子で察したらしい、ジニーの眉間に皺が寄った。


「ちょっとこじれかけてる。

 でも大丈夫よ。ただ時間はかかるわね。

 ……で、どうする?

 あなたたちは一旦離れてもいいのよ」


 未だブランデルグを移動させるのは勧められない。

 だがジニーたちはいつまでも遊んでいるわけにはいかないだろう。

 ブランデルグの面倒を見るだけならオフェーリアひとりで充分だ。


「いや、ブランは置いて行かない。

 俺たちもそれなりの稼ぎをしてるし、今更急ぐわけじゃない。

 それに朝起きたら外でくたばっている魔獣を全部くれてるじゃないか。あれだけでもそれなりの稼ぎになるんだぜ」


 この森は魔獣が多く生息しているようで、毎朝幾らかの魔獣が結界に激突して息絶えている。

 ジニーはその事を言っているのだ。


「それにフェリアちゃんの作る飯は美味い。

 正直離れ難いよ」


 結局これが本音に聞こえた。


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