『ポーションの効果』
皆の努力の結果、まもなくどうにか小型のゲルがひとつ出せるような場所を確保できた。
その中に簡易の寝台を出して、ブランデルグをそこに寝かせる。
この際上半身の着衣は脱がせて傷の様子を初めて見ることになった。
「最初のポーションが上手く効いたようね。
あとは残りのポーションを水のかわりに飲んでいたことが命をつなぐ事ことになったみたい」
それでも失った血がそれなりの量だったのだろう、オフェーリアはポーションのほかに増血剤や栄養剤を少しずつ、少しずつブランデルグの口に流し込んでいた。
「おお、ここは温いな」
馬車を縁に寄せるために草刈りをしていた皆がゲルの中に入ってきた。
そこには携帯用魔導ストーブが出されていて、下がり始めた気温からブランデルグを守ろうとしていた。
「……この数日、雨が降らなかったことは幸いだったわね」
事実、夜間の気温もそれほど下がることなく、それがブランデルグの命を繋いだもうひとつの要因だったのだろう。
「雪がちらつきだした。
馬たちもなるべく雪を避けられるように枝振りのよい木に繋いできた」
「間一髪だったわね。
ブランデルグはもう大丈夫よ」
ただ意識を取り戻すのはいつになるかわからない。
【解析】で診たところほとんどの病変もポーションのおかげで回復したようだ。
しかし頭も強く打ったようで、こちらの予後が確定できないでいた。
「でも移動はもう少し待ってちょうだい。
せめて意識が戻って、食事が摂れるようになるまでは」
そして御者と冒険者たちは、一体誰が裏切り者だったのか、わかるまでは軽々しく動けないことを理解していた。
 




