『クソガキ』
前話が300話でした。
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これだけの騒ぎになっているのに母親は来ない。
実はその母親は少なくなってきた手持ちの金を増やすため、宿屋に内緒で客をとっている最中だった。
そのために邪魔な娘を部屋の外に追い出し、暇を持て余した娘がたまたま開いていたオフェーリアの部屋に突進したのだ。
「ポーション……
あんた、ひょっとして薬師か?!」
2人連れの一方がしゃがんで、床に広がった液体をすくっていた。
指に付いたそれを嗅いでみて確信したようだ。
「さすが商人さんね。
匂いを嗅いだだけで判断できるなんてびっくりよ」
「いや、私は以前使用したことがあるから……
それよりもこれは一体……いや、何があったかは見ればわかるが。
クソガキ、またお前か」
最後の部分は吐き捨てるように続けられ、その目は侮蔑に満ちている。
「あのアバズレはまた男と一緒か?
いい加減にしないと宿から追い出されるぞ」
「それよりもこのクソガキだ。
こいつはもう憲兵に突き出した方がいい」
2人連れはよほど迷惑を被ったのか、マリーに関して手厳しい。
とりあえずファントが縄で拘束して兵士を待つことになった。
「何で?!
ちょっと不注意で割っただけなのに!」
マリーは激しく暴れながら喚いているが、商人の言った次の一言に沈黙した。
「お前が割ったあのポーション、一体いくらするのか知ってるのか?
この大陸でポーションは貴重品だ。
あれ1本で金貨5枚は下らんぞ。
お前らに弁償できるのか?」
マリーは真っ青である。
そしてオフェーリアもポーションの値に驚愕していた。
 




