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『ふたたびジル』

「フェリア様!どうかなさいましたか?!」


 商業ギルドに入ってきた、昨日出立したはずのオフェーリアを見て、ジルは慌ててカウンターから飛び出してきた。

 これは想像通りのリアクションだ。


「いえ、ちょっと採取に夢中になっちゃって。

 しばらく森でのんびりやって行こうかな、と」


「森、ですか?

 どちらの森でしょうか?」


 ジルは訝しげだ。


「この町から出たら、向かって左側はずっと森でしょう?

 適当なところから入ったからよくわからないけど、今いるところには近くに小川があるわ」


「川ですか?」


 冒険者でも冒険者ギルド員でもないジルには聞いたことのない話だ。


「街道から入って、そんなに奥には行ってないと思うけど……知らない?」


「ええ、でも冒険者たちは良く知った場所かもしれませんね。

 それで、何かよい素材が採れましたか?」


「そうなんですよ!

 なのでまたジルさんにお願いしようと思って」


 オフェーリアはウエストポーチ型アイテムバッグから手のひらにのるほどの袋を取り出した。


「その川で採取した玉石に付与をして、護符兼飾り石として使えないかと思って」


 袋から取り出したのは白玉と呼ばれる玉石だ。

 それには精巧な文様が刻み込まれていて、十分装飾品として通用しそうだ。


「これはどういった効果のある護符なのでしょうか?」


「とりあえず付与してきたのは致命傷一回無効です!」


 えっへん、と鼻高々なオフェーリアを前にしてジルは固まってしまっている。

 そしてあわあわと何か言いたげにしているのだが、言葉にならないようだ。


「えーっと、何かマズかったかな?」


 さすがに不安になったオフェーリアはジルの顔色を伺う。すると彼女は正気を取り戻したように、オフェーリアに喰いついてきた。


「フェリア様っ!

 これは、この護符は画期的な魔導具ですよっ!

 このままでもよいしアクセサリーとして加工してもよい。

 どちらにしてもそれなりの価格で売れます」


 鼻息荒いジルを前にして、オフェーリアはタジタジである。

 こんな事を言われて次が出しにくくなってしまった。


「あの、ありあわせのものに付けてきたんだけど」


 続いてウエストポーチから出てきたのは繊細な細工の鎖に繋がれたシンプルなペンダントだ。


「これは普通の白金だからそれほど高価なものではないと思うけど……」


 ジルに睨まれて語尾が尻つぼみになってしまう。


「それは都でのお話でしょう?

 白金なんてどれほどの値になるか」


 ジルは興奮したり憤慨したり、忙しい。

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