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『森の恵み』

「さあて、と」


 オフェーリアは、部屋を照らすランプ以外に手許を照らすランプを引き寄せ精神を統一した。

 ずらりと並んだ色々なサイズの細工用のナイフの中から一本取り上げ、固定枠に収めた玉石に模様を刻んでいく。

 ナイフの刃に魔力を込めているのでサクサクと刻んで、あっという間にただの玉石を宝玉へとランクアップさせた。

 色の綺麗なそれはさらに加工して装飾品にしたり、付与を施して護符にしたりする。

 これはたくさん作っておいて、今度ギルドで売ってみようと思う。

 だがジルのような【鑑定】魔法持ちはそれほどいないので、また面倒くさいことになるかもしれない。

 オフェーリアの得意な調薬にも同じことが言えるので躊躇してしまうのだ。


 就寝してからしばらくして、家全体が大きく揺れ、オフェーリアは飛び起きた。

 結界で守られた“家”がそんなことになるのはよほどのことだ。

 無視出来ないオフェーリアは、何事もなかった裏口からそっと外に出てみた。


「そりゃあ、家も揺れるはずよ……

 こんなのに体当たりされ続けたら、普通の家なら一発でアウトね」


 漆黒の闇の中、オフェーリアの持つランプの光に照らされて浮かび上がったのは、10mはある大亀だ。

 それもこの亀は攻撃を仕掛けてくるとき火を吐いてくることもある凶暴なヤツなのだ。


「それでも素材としては超一級よ。

 ……遠慮なく頂きます」


 こちらも、血一滴も無駄にしたくないので、窒息させて息の根を止める。

 そして大物を収納しておくことに決めてある【異空間収納】に収納した。


「ここはヒトの町に近いのに実りの濃い森なのね。

 魔獣も調査すればもっと色々貴重なヤツが生息しているかもしれない……

 急ぐ旅でもないし、しばらくここに腰を落ち着けてみようかな」


 ただ、ジルとその一族に見送られて出立してきた手前、少々恥ずかしい事になりそうだが、格安で護符を卸したら喜んでくれるだろう。


「でも今は寝ましょう」


 念には念を入れて結界をもう一重増やして、オフェーリアはベッドに戻っていった。

 ちなみに翌朝、外側に張った結界を巻き込むように、おそらく銀露女王蜘蛛の糸が張られていた。

 これは粘着物を取り去る処置を行ったあと、上質な布の原料となる。


「まあ、素敵なプレゼントをありがとう!

 もうこれで滞在決定ね」


 風魔法を使って糸を集めると、ひとくくりにして異空間収納に突っ込む。

 今夜からは何ヶ所かダミーの結界を張って素材集めができるか試してみるつもりだ。


「恥ずかしいけど、ジルのところに行くか」


 そろそろと重い腰を上げた。


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― 新着の感想 ―
[一言] もしかして、「魔力値1~」の舞台となっている世界の過去の話ですかね?
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