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『進化と仔鰐』

「しかしその鰐の子は面妖な見た目じゃの」


 婆様は胴体に巻き付いた尻尾の事を言っている。


「このせいでこの子は野生では生きていけないでしょう。

 なので私はギルドで従魔登録をしてきました」


 正確には登録を頼んできたのだが、まあ良いだろう。


「ほう、従魔とな。

 偶然なのか、どうやら雛の擦り込みになっておるようだし、成長の遅い種族なので数十年はさほど大きくならんじゃろう」


 それならば、あの親であろう成体は一体何年生きていたのだろうか。

 オフェーリアは異空間収納の中のクロコダイラワニンに思い至っていた。


「お主が転移魔法を極めたら、儂も再びダンジョンに潜りたいの。

 早うこの婆を連れて行っておくれ」


 そう言われて送り出されたオフェーリアは、次に宮殿へと向かった。

 そこにある学究機関にクロコダイラワニンとその卵を託すつもりだ。


 オフェーリアが訪ねてくる前と同じくひとりになって、老婆は思考の海に呑み込まれていく。

 彼女の一番年若い生徒であるオフェーリアの、最近の魔法族ではまずない進化の成果に、思わず口角が上がっていく。

 今現在、市井に降りた魔法族の中には攻撃魔法に特化したものもいて、彼彼女らは強大な威力の広範囲殲滅魔法を操れるほど進化を繰り返してきた。

 もはや伝説級とも言える彼彼女らは滅多に姿を現さない。


「我らの一番年若な子はアレら以上の可能性を秘めているのかもしれぬの」


 老婆はクツクツと笑いながら独り言ちた。



 オフェーリアが迎賓館の自室に戻ってきたのは陽が沈み、あたりが宵闇に包まれた頃だった。


「今日もずいぶんと遅くまでご苦労様でした」


 いくら意見をしても聞き流されてしまうオフェーリアに、ドーソンは皮肉で対することにしたようだ。


「ええ、今日は特別でした。

 実は以前から実験していたことが成功しましてね、その成果が“これ”です。


 アトリエで作業する時に着ている、簡素なデザインのドレスのポケットから取り出した仔鰐に、ドーソンは何かを言いかけ……バッタリと倒れ伏した。


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