『階級(レベル)』
「鰐……の仔じゃな。
なんと珍しい!
もうこの大陸では見ることは叶わんぞ」
「やはりそうでしたか。
ではなくて、私はこの子を連れて“転移”してきたんです!
これってどういう事なんでしょうか?」
オフェーリアは半ばパニックである。
「なんと……
お主、階級が上がった(レベルアップした)のかの」
「階級が上がった(レベルアップ)とは?」
オフェーリアは訝しげだ。
「聞いたことはないかの?
……生産系の魔法を多く使う者がその技術を発展させた魔法を新たに覚えることがあるという事を。
そうじゃの、攻撃魔法使いは最初から強力な魔法を使えるわけではなかろう?
例えば最初は火球しか使えんが徐々に複数の魔法を覚えていくじゃろう」
「はい」
「それと同じことじゃ。
今は魔法族といえど階級を上げる(レベルアップする)ほどひとつの魔法を使い続けるものはそれほどおらん。
お主は転移魔法の階級をひとつ上げたのじゃ」
「今まで生き物を伴うことができなかったのができるようになった。
それが階級が上がる(レベルアップ)ということ……」
「そうじゃ。
お主は転移魔法の他に異空間魔法も優れておったな。
各魔法の詳細を記した書物は宮殿の書庫にあるじゃろう。
一度しっかりと把握しておいたほうが良いかもな」
魔法族と言っても普段から魔法ばかりを使って生活しているわけではない。
なので生産職以外はある程度の階級になると進化が止まってしまうようだ。
「今は質量の少ない、小さな生き物だけかもしれぬが、さらに階級を上げれば人なども一緒に転移できるようになるだろうよ。
努力おし、オフェーリア」
もしそうなれば便利どころの騒ぎではない。