『ダンジョン行、底辺冒険者』
受付にいた職員2人は、とにかくこのままでは他の冒険者の邪魔になるだろうと、隣の小部屋に2人を呼んだ。
「いくら落ちていたって言っても本来の持ち主に断りもなく持ってきたら駄目なんだからな」
「ええと、これは僕たちが……」
「ラットならともかく、お前らに狐は無理だ。
特に3階層なんて行ったことないだろうに」
正確には過去に一回だけ行ってみたことがある。
だがその時は2人とも決して軽くない怪我をして、命からがら逃げ出してきたのだ。
「とりあえずラットは認めてやる。
だが狐は諦めろ」
「じゃあ、その本来の持ち主って言う人に頼んだら!」
「順番が違うと思うな。
こういう時は先にちゃんと許可を得るもんだ」
オフェーリアにとって常時依頼のサンドフォックスなど取るに足らないものだが、その日暮の彼らにとっては死活問題なのだ。
「でも、でも誰もいなかった!!」
とうとう白状したも同然だったが、諦めきれないのか強情に言いつのってくる。
「今なら見逃して、ラットだけなら換金してやる。
だがこれ以上騒ぐなら規定違反の罰則を与えねばならん」
罰則と聞いた途端さらに顔色を悪くした少女が泣き出した。
それを見た少年がサンドフォックスの放棄を認め、ようやく一件落着した。
そしてこの件のもう一方の当事者?であるオフェーリアは、ギルドに寄ることもないので起きた事を一切知らずに都に転移してきていた。