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『冬籠りとは』

「今年は冬が早いかもな〜

 フェリアちゃんはどこで冬越えをするつもりだい?」


「冬越え?」


 オフェーリアの生まれ育った魔法族の都ではそんな言葉を聞いたこともない。


「冬篭もりと言えばわかるか?」


「あのリスとかがするやつですね?」


 アレックスが怪訝な顔をする。


「フェリアちゃん、一体どこの出身だぁ?

 雪の少ない地方でもそれなりに準備するだろう?」


 そんな事を言われてもオフェーリアの故郷ではそれほど冷え込みは厳しくなかった。

 家に篭るほど寒くなるなんて想像つかない。


「ええ、そうですね。

 ……ではその冬期の間、冒険者の皆さんはどうしているのですか?」


「金を持っている上級冒険者は本拠地に家や定宿を持ってる奴らが多いからそこで冬を越すんだが、ほとんどの冒険者はずっと南の方に移動したり、あとはダンジョンに篭ったりするな」


「ダンジョン?!」


 本で読んだことはあるが、実際に身近にあるとは思っていなかったものだ。


「ダンジョンって知らないか?

 大体、国にひとつくらいはあるんじゃないかな。

 ここから一番近いのは……」


「国境を越えたディンビン・ダンジョンだな」


 ずっと黙って話を聞いていたコンロルが口にした地名は、何かで読んだ気がする。


「ダンジョンってやつは普段でもそれなりに冒険者を集めるもんだが、冬の間はそれが何倍にも膨れ上がるんだ」


 ダンジョンに入ってしまえば寒気に左右されることはない。

 実力ある冒険者パーティーはダンジョンの中で寝泊りして冬を越すそうだ。


「冬籠りはともかく、ダンジョンには行ってみたいですね。

 ラバナラに着いたら少し調べてみて、もちろん冬をどこで越すかも検討してみます」


「おう、今この大陸で戦をしている国やきな臭い噂を聞くようなところはないので、どちらに向かっても大丈夫だ」


 オフェーリアが避けたいのはサクラメント侯爵領だけなので、このまま先に進めば問題ないだろう。

 今聞いた、ディンビンと言うダンジョンに向かってもよい。


「まあ、余計なお世話かもしれないが、フェリアちゃんはその見かけだろう?

 身体も小さいし、十分注意した方がいいと思うんだ」


「ありがとうございます。

 私、これでも魔導具師なんです。

 なのでそれなりの備えは持っているんですよ」


 本当は錬金術と魔法を司るものだが、今ここで本当の事を言うと騒ぎになってしまう。

 オフェーリアはにっこりと笑うと、結界石を取り出した。


「今夜もこれから使うつもりですが、これを、例えばテントの四隅に置くとドラゴンクラスでない限り攻撃を弾きます。

 もちろん中に入ることはできません」


 男たちの間からどよめきがあがった。


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