『行動』
ドーソンと女官を懐柔?した結果か、迎賓館の中での行動はかなり融通が効くようになっていた。
しかしそれは迎賓館の中という限定されたものだったのだが、当然オフェーリアには通用しない。
ある日突然、オフェーリアが言い出したことにドーソンたちは阿鼻叫喚といった状況になる。
「どうか侍従長殿の方から何とか仰って下さい!」
ドーソンをパニックに陥れた要件、それは『ダンジョンに採取に行かせろ』と言う事だ。
いくら何でも公爵家の婚約者である姫君に、ではどうぞと許可するわけにはいかない。
だが王家と公爵家の間で揉めていることもあり、未だオフェーリアの公的な身分は未定であって困り果てていた。
「一応許可を求めただけ誠意を見せているのです。
何もひとりでは参りません」
オフェーリアはそう言うが、高貴な女性に冒険者の真似などさせるわけにはいかないのだが
深夜、夜闇に紛れるように暗色のローブにフードを目深に被って、冒険者ギルドの前に立ったオフェーリアは扉を開けて中に入った。
「こんばんは」
受付カウンターの中にいた男性職員は女の子の声を聞いて、びっくりして顔を上げた。
見るとカウンターから首から上を出した、フードを被った少女?がいる。
今の時間、とても女性がひとりで行動する時間帯ではない。
それが出来るのはパーティーの仲間と一緒か、上級冒険者だけだ。
「初めまして、の方ですね。
今日は質問があってきたのですが……」
「はっ、はい。何なりと!」
「こちらのダンジョンに入るための、何か資格とかあるんですか?
私、ここのダンジョンは初めてなので」
「入り口でギルドカードを拝見するだけですが……」
職員の目がオフェーリアに注がれていた。




