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『褐金花茶』

 日に日に気温は下がり、冬の訪れももう少しというところ。

 部屋の暖炉には火が入り、着衣は一枚多く重ねられていた。

 このルバングル王国は冬籠りしなければならないほどには寒くならないが、それでも平民の間では凍死するものも少なくない。



「ドーソン、まだ顔色がもうひとつね。

 もう大丈夫なの?」


「はい、昨日はご迷惑をおかけしました」


 口ではそう言っているが、体調が悪そうだ。


「女性特有の症状を改善するハーブ茶を調薬してきたのよ。

 見た目も綺麗だから気分も解れるわ」


 自然な仕草で透明なティーポットを取り出し、まずは温めるためだけにお湯を注ぐ。


「この国に花茶はあるのかしら。

 今日のお茶はその一種に他の効能のハーブを混ぜたのよ」


 一度捨てられた湯の替わりに再び湯が満たされ、薬包から取り出したものをポットに入れる。

 そしてポットカバーがかぶせられ、紅茶の時と同じように一定時間待つことになる。


「さて、よ〜くご覧になって」


 ポットカバーを取ると透明なポットの中には見事な褐金花が咲いていた。

 ドーソンだけでなくその場にいた女官も見惚れている。


「お味も雑味がなくて、なかなか美味しいのですよ。

 これは毎日飲むと身体の状態を整えてくれます」


 オフェーリアの手でカップに注がれた褐金花茶を一口、口に含んで嚥下し、ドーソンは感嘆の吐息を吐いた。


「とても美味しゅうございます」


「そう、よかった。

 お薬も良いけど、なるべく自然のもので身体を整えた方がいいですからね」


 そう言うオフェーリアだったが、実は一番心労をかけているのが自分だと、気づかないのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] オフェーリアが、使用人に対して不作法な行いをしなければ、それ以外、使用人の心まで慮る必要はないでしょう。
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