『体調不良』
今回女性の日の表現があります。
苦手な方はご配慮願います。
当初オフェーリアの迎賓館滞在は2〜3日の予定だったが、本人に詳細が知らされることなく一週間が経とうとしていた。
この状況でもオフェーリアは落ち着いたものだが、ドーソンは違う。
焦れて不安に駆られた彼女は再三侍従長に面会を申し込んでいたが、現状維持を申しつけられただけで会うことすら叶わなかった。
「ドーソン、顔色が悪くてよ。
今日はアトリエに籠るつもりだから、休んでらっしゃいな」
オフェーリアの向かいに座ったドーソンは俯いて唇を噛み締めている。
「大丈夫かしら?」
優雅に立ち上がったオフェーリアの小さな手が、ドーソンの額に当てられる。
「少しお熱があるようね。
……いつもこんななの?」
オフェーリアは【鑑定】でドーソンの状態を正確に把握していた。
「痛みを緩和するハーブを調薬してくるわ。
そこのあなた、白湯を用意してちょうだい」
いつものようにアトリエへの扉を開くと中に入っていってしまう。
オフェーリアを止める気力もないドーソンは目を閉じて痛みをやり過ごそうとしていた。
「痛み止めの効果のある丸薬にしたわ。
さあ、飲んで」
差し出された薬はハーブの香りがする。
ドーソンは素直に薬を飲んだ。
「効いてきたら眠たくなるわ。
お部屋に戻って横になりなさい」
そして控えていた女官に付き添うように言うとドーソンの手を取った。
その手は血の巡りが悪いのか、冷たい。
「……では、お言葉に甘えさせていただきます」
ゆっくりと立ち上がるのを助けたオフェーリアは、女官に支えられて出ていくドーソンを見送った。
そして自身もアトリエに向かったのだ。
「人間の女性は大変ね」
オフェーリアはアトリエの作業台に何種類かのハーブを取り出し、ていねいに作業していく。
女性特有の症状に効く褐金花の花の部分を乾燥させたものをベースに茶葉(茶花?)を作成し、ひとつづつ薬紙で包んでいった。