表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/617

『ダンジョンと冒険者』

「これは見事な金華狒々だ」


 カウンターにドンと置かれた狒々……あちらの大陸ではベルベットモンキーと言う名で知られるものを見た爺が感嘆の声を上げた。

 彼は早速その場で狒々の体を隅々まで観察し、そしてあることに気づいた。


「傷が見当たらない……」


「それは魔法で倒したの。

 ……全身の血は抜いてあるから、処理は簡略化されると思いますわ」


 この時、本当に血の気が引いたのは鑑定士の爺だけだった。

 この恐ろしさを、あとの2人は理解できていない。


「これはダンジョン産の魔獣ですわ。

 毛皮くらいしか価値はないでしょうが、買い取ってもらえるかしら」


「ダンジョン……

 フェリア殿が潜ってきたのか?」


 信じられない、と言った様子でゲルルートは目の前の小柄な少女を見た。


「ええ、冬籠りがてらにダンジョン攻略をしたのです。

 結局春どころか秋までかかったのですが攻略しましたのよ。

 それよりも、こちらにもダンジョンはあるのかしら?

 それから冬はどう過ごされるの?」


 もうすっかり鑑定に夢中な爺は、オフェーリアの声は聞こえておらず、同僚の職員はギルドカード作成のため奥に行っているので、自然とゲルルートが答えることになる。


「ああ、ダンジョンはあるよ。

 この王都の近くにも大迷宮と呼ばれるダンジョンがあるし、我が国にはあと3ヶ所ある。

 おそらく、あちらの大陸と変わらないと思うが、ちょうどいいから説明するぞ。

 冒険者にはSSからFまで等級があって、初めて登録したものはFから始める。ここまではいいか?」


「ええ、それは向こうでも同じよ」


「昇級は基本、討伐した魔獣の種類や数、依頼の達成数などによって決められている。

 フェリア殿の今回の場合は、申し訳ないがあなたが狩ったという証拠がないので、反映できない。すまん」


「別に謝らなくてもいいわ。

 私でもそうしたもの」


「物わかりがよくて助かるよ」


 ごねて暴力沙汰など日常茶飯事なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ