『マティアスの希望』
「なあ、フェリアはこれからどうするんだ?」
冒険者と商業、2つのギルド長が古龍に夢中ななか、マティアスが話しかけてきた。
「そうね、まずはマティアスに魔獣を渡さないといけないでしょ?」
「それなんだが、さっき言ってただろう?
値崩れがどうとかって。
俺のマイテムバッグはフェリアほど大きくないし、たくさん渡されたからって保管できない。
それでだ、フェリアに頼みがあるんだ」
「うん?何かしら」
「できればあの、魔導具のテントを譲って欲しい。
もちろん、俺が受け取るはずの素材を対価として、それで足らなければ補填する」
「テントって……
前に貸してあげたことのある小さいやつ?
天幕じゃなくて?」
「ああ」
オフェーリアは思案する。
「あれも空間拡張の付与がかけられているけど、狭いよ?
水廻りは……お風呂が問題だわね」
オフェーリアなら浴槽に直接湯を注ぐことが出来るが、マティアスはそうはいかない。
「うん、そっちはちょっと考えてみる。
もちろんマティアスに魔導テントを販売するのは吝かではないわ」
「本当か?良かった〜
もうあの状態に慣れたら、今までの野営に戻れそうにない」
「了解、了解。
で、使用者限定はマティアスだけでいいの?」
「そうだな……
俺とフェリアで頼む」
「まあ、私も?
それは嬉しいわね」
マティアスは、フェリアの笑顔が眩しい。
「明日にでも師匠のところに行って、お風呂のお湯に関してだけ相談してくるよ。
まだしばらくこの町にいるでしょう?」
「ああ、少なくてもこの冬一杯はここに居ようと思ってる」
「私も原則的にはここにいて、あとはあちこち行ってくる予定。
真冬にしか採れない素材の採取にも行く予定だから、そのときはまた依頼していいかしら?」
「もちろん大歓迎だ」