『古龍見学会』
オフェーリアたちは今、町から出てしばらく行った平原に来ていた。
それはこの場で古龍を披露するためだ。
「こんなところまで来ないと見せてもらえないのか?」
ジャンはともかく、クロードは不満そうだ。
「ギルドの訓練場では狭いし、町中でこんなのを出したらどんな騒ぎになるか……
その点、ここなら心配ないでしょう」
オフェーリアのその言葉とともに現れたのは、小山のような古龍の骸。
それを眼前にして2人のギルド長は、ただただ呆然と見上げている。
「どう?
これがダンジョン最下層にいたダンジョンボスよ。
ダンジョンコアはそのままにしてきたわ」
所々苔むした古龍の、すべてを見るためひと回りするのに2刻近くかかり、その巨大さに再度驚愕する。
「悪いけど今回、これは売れないの。
この古龍は私の郷に持っていく予定なのよ。
もし余ったらいくらか卸せるとは思うのだけど……」
オフェーリアは本当に申し訳なさそうだ。
「そのかわり、ブルードラゴンやファイアードラゴンなら譲ることができるわ。
値崩れを防ぐためにまずは一頭ずつ、でいかが?」
冒険者ギルドと商業ギルドのギルド長たちはそれで一旦手を打つ事にした。
ジャンなどはオフェーリアが、どれほどの数のドラゴンを持っているか朧気ながら思い浮かべている。
後日この古龍は都に運ばれ、正当な値で買い上げられた。
その額何と、金貨1億枚。
ダンジョンボスの古龍はその貴重な素材を余す事なく活用するため、すぐに教授の異空間収納に収納されたのだ。