『冒険者ギルドの会議室』
ダルタン邸でささやかな帰還の祝いの食事会を終え、庭の一角に出したウッドハウスに戻ってきたオフェーリアは、明日提出するために書き溜めてきた冊子をひと所にまとめていた。
あとはいくつかの魔獣の骸を取り出して見せて、あちらの疑問に答えるだけだ。
その後、自分が預かっている素材(魔獣の骸)をマティアスに受渡すことになる。
最初の契約ではオフェーリアが必要とするもの以外はすべて譲渡するとしていたが、あの古龍だけを取るとしても相当な価値だ。
オフェーリアはそれ以外にも幾ばくかのドラゴンも欲していたが、よく考えてみれば自分はいつでもあの場に行くことができるのだ。
ドラゴンは各種2〜3頭を残して、あとはすべてマティアスに譲ることにした。
「ジョン、今日は私たちのために時間をとってくれてありがとう。
クロードも悪かったわね」
冒険者ギルドの2階の1室、ここで1番大きな会議室に今、冒険ギルド長ジョン、商業ギルド長クロード、あとオフェーリアとマティアスが集っていた。
「こちらこそ疲れているところを悪かったな。
だが今年の厳冬期もすぐそこまできている。
出来るだけでも情報が欲しいんだ」
冒険者ギルドとしては深刻な問題だ。
「……去年の入場者の帰還率は?」
「浅層の、大体10階層ぐらいまでしか潜ってない連中はほとんどが戻っている。
フェリア殿が途中でダルタン隊長に言伝てくれたことで、12階層以降に潜るときは十分気をつけるように忠告することが出来た」
「その他は?」
「それ以上深く潜ったと推察されるパーティーで、帰ってきたのは君たちだけだ」
オフェーリアとマティアスは思わず顔を見合わせた。




