表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/617

『ダルタン家にて』

「と、とりあえずもうこんな時間だし、明日にしたらどうだろう?

 明るいときの方が細部もよく見えるだろうし」


 逸る気持ちを抑えて、ジャンが言う。

 そう、どちらにしてもこの場では狭すぎるし、今はもう夜なのだ。


「そうね。

 私もゆっくりしたいし、ダルタン、またあなたの家の庭を借りるわよ」


「じゃあ俺は宿をとるわ。

 フェリア、明日ギルドで会おう」


「了解。

 昼過ぎでどうかしら?」


「ああ、俺はそれでいい」


 まるで周りを無視して話を進める、オフェーリアとマティアス。

 もう一年近くこの調子だったので、自分たち以外への配慮は抜け落ちてしまっている。


「では町に戻りましょうか。

 ダルタン、行くわよ!」


 せっかく出迎えた他の者たちは置き去りである。




「姉御、ドラゴンを狩ってきたってのは本当か?」


 ダルタンの家では通いの家政婦の手によって、ささやかな祝いの宴が用意されていた。


「古龍のことを言っているの?

 最下層にいた、あれのことなら、そうよ」


「本当なのか〜」


 ダルタンは感激のあまり、泣き笑いの表情をしている。


「“ドラゴン”と言えばたくさん狩ってきたわよ。

 ただドラゴンはマティアスと山分けの約束をしているから、そのあとなら小さいのを1匹くらいあげてもいいわ」


 ダルタンはとんでもないとかぶりを振る。

 そんなことになれば周りからどのようなやっかみを受けるかわからない。


「そうなの?困ったわね〜

 じゃあこれならどう?」


 そう言って取り出されたのは、手頃な大きさの角兎だ。


「焼いてよし、煮込んでよし、このサイズなら家でも解体できるでしょう?」


 オフェーリアはダルタンが解体できるのを知っている。

 今は防衛隊の隊長であるダルタンだが、しがない冒険者だった時があったのだ。


「おお、この肉付きはいい感じだ。

 ダンジョン産の魔獣は美味いんだよな」


 少年のような笑顔で受け取ったダルタンが、先に台所の熟成棚に角兎を吊るした。

 血抜きが済んでいるのは承知しているので角の根本を結えている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ