『帰還』
予想通り日暮れの頃、ダンジョン初層に到着したオフェーリアたちは、彼女らを見てざわめく冒険者を尻目に外に向かっていた。
「お勤めご苦労様」
ダンジョン内と外を区切る門で、冒険者の入出を管理している兵士3名がオフェーリアとマティアスを見て呆然としている。
その中のより年嵩の兵士が最初に我に返り、咳払いしてから話しかけた。
「俺は、あんたたちに見覚えがある。
ギルド長から話があって、不明者にはなって無かったが……本当に生きていたんだな」
彼は感慨深げだ。
「ええ、すっかり長居してしまったわ。
でもやっと終わったの」
3名の兵士は畏敬の念を持ってオフェーリアたちに道を譲った。
「ありがとう。
また、すぐに戻って来ると思うけど、そのときもよろしくね」
日暮れどきのはずなのにやけに明るく見える外では、魔導具の明かりが灯されまるで昼間のようだった。
「何なの?」
「フェリア!!」
その時、久々に聞く声がフェリアの名を呼んだ。
「あら?クロードなの?
あらまあ、ジャン、フランシス、ダルタンまでどうしたの?」
「どうしたの、じゃないだろう、姉御!!」
どうやら、帰還の日時を知らせるように頼んでおいたのだが、思ったよりも大事になってしまったようだ。
「フェリア殿、よくご無事でお帰りに……」
冒険者ギルド長ジャンなどは感無量のようだ。
「ジャン、あなたが推薦してくれた彼はとても有能だったわ。
最高の人選だったと思います」
褒められたマティアスはくすぐったそうだ。
「なのでお土産がたくさんあるの。
でもまずは……このダンジョンの最下層の主をお目にかけましょうか」
それはその場にいる、オフェーリアとマティアス以外の者の度肝を抜くに十分な言葉だった。