『ダンジョン内の大平原』
ダンジョンの外がもう初夏を迎えているなか、オフェーリアたちは今までの最下層に近づいていた。
「どうやらこのあたりでは最奥にならないようね」
第46階層、そこはただだだっ広い平原だった。
「背後の階段以外周りはずっと地平線が見える……
空は青くて太陽まであって、ここがダンジョンだって忘れてしまいそうだよ」
フェリアがしみじみと言った様子で周りの状況を表して見せる。
「これだけの場所、という事は、それに見合った奴が現れるってことだな」
「今までの経験則からいくと、そろそろ現れるわよ」
「ほら」と、探査しているオフェーリアが指差した方向に米粒ほどの黒い点が現れた。
それがこちらに向かって、どんどん大きくなってくる。
「あ〜、飛行タイプの魔獣のお出迎えよ。
どうやら……ロック鳥みたい」
早速鑑定したオフェーリアは、素朴な疑問を口にした。
「ねえ、ロック鳥って美味しいのかしら?」
食用鳥魔獣の代表としてはコカトリスが有名である。
石化の魔法を使って襲ってくるコカトリスは、面倒だがとても美味しい肉となる。
オフェーリアもマティアスも特にから揚げが絶品だと思っていた。
「あれだけの大きさの鳥だからなぁ、誰も食べてみようとは思わなかったんじゃないの?」
「じゃあ、試してみようか」
十分引きつけてから【血抜き】を使った結果、飛行の勢いそのままに突っ込んできて、危うく轢かれるところだった。
「あっぶねぇ……
勘弁してくれよな、フェリア」
「ごめんごめん。
しかしこれは……
もも肉だけでもすっぱり切り落として、それから羽を毟るしかない?」
「それでもデカいよな。
このへんを適当に抉っていけばいいんじゃない?」
腿のあたりにバスターソードを突き立て、ザクザクと切り取っていく。
「ほら」
ひと抱えもあるもも肉を2つ切り取り、後は異空間収納に収められた。




