『巨大種』
全長30mはある、メガバッファローの巨大種ギガバッファローが【血抜き】によって一切傷を負うことなく、地響きとともにその巨体を横たえた。
「こんな巨大種ばっかり出てきて、完全にダンジョンのレベルが違って来てるわね」
43階層に入ってそれは顕著となり、今いる45階層ですべての魔獣が巨大種である。
肝を潰したのは山ほどある亀の魔獣で、あちらから襲ってくることはなかったが、一応屠っておいた。
マティアスが驚愕したのはその巨大亀の骸を、オフェーリアが収納したことだ。
「どうしたの?変な顔して」
「いや、フェリアのアイテムバッグは一体どれだけ入るのか、と思って」
「こちらはアイテムバッグじゃないわよ。
私、異空間収納を持っているの。
これはほぼ限度ナシなのよ」
サラッと凄い事を言われてマティアスは立ち直れない。
オフェーリアが規格外なのは今更だが、限度がある。
「なので屠った魔獣は全部持って帰るわ。
きっとギルド長が喜ぶわよ」
いや、きっと彼は無我の境地に至るだろう。
そして解体の責任者は真っ白に燃え尽きる。
「ここから先は巨大種ばかりかもしれないわ。
こんなの一つや二つのパーティーでは無理よ……」
「ああ、普通は群れの中の一頭が巨大種もしくは上位種である事が多いのだが、ここらの奴らはみんな馬鹿デカい。
これではクランどころかレイドもんだぞ」
クランと言うのはいくつかのパーティーを抱える集合体で、レイドと言うのはそのクランがいくつか集まって討伐するときの事を言う。
「そうよね。
その前に吹雪から身を守るすべや、見えない敵に対抗するためのすべも大切よ」
オフェーリアは結界石や個人に防御を付与する魔導具を、広く販売する事を考えていた。