『進行』
17階層からは順調だった。
オフェーリアは採取を優先して進み、ダンジョンの中の貴重な素材を手に入れて、ホクホク顔だった。
大体1つの階層を2〜3日かけて探索し、気がつくと30階層、ダンジョンに入って2ヶ月ほど経っていた。
「マティアス、私とあなたとの契約は3ヶ月だったけど、延長は認められるのかしら?」
今すぐ戻れば契約通り3ヶ月に収まるだろう。
だがオフェーリアはもう少し深く潜りたいと思っているのだ。
そしてそれはマティアスも同じで、彼は今までにない心の昂まりを感じていた。
「もちろんだ!
こんなワクワクする体験は初めてなんだ。
むしろこちらからお願いしたいくらいだぜ」
マティアスもノリノリで、2人はもう少し下まで探索することになった。
「ところで、このダンジョンは一体何階層まであるんだろうな」
「以前は48?49?くらいだったと思うけど、“レベルアップ”したのなら、どこまで大きくなったか予測がつかないわね」
「俺はフェリアとなら攻略できる気がするんだかな」
「そんなこと言って……
一体いつまでかかるか、わからないのよ」
オフェーリアは冗談半分で聞いているが、マティアスはいたって本気だ。
「俺は一年かかってもいいと思ってる。
フェリア、あんたの覚悟はどうだ?」
「参ったわね。
……この先は立ち話では何だから、今日はここで野営しましょうか」
各自天幕とテントを出し、結界で囲む。
そして2人はオフェーリアの天幕へと入っていった。
先日までマティアスのベッドなどがあった場所に、大きめのテーブルと椅子が置かれている。
オフェーリアはマティアスにそこに座るように言うと、自分は奥のキッチンにお茶の用意をしにいった。
おそらく、この後は混み入った話になるのだろう。




