『実験』
その後、まずは16階層の探索をして個人的な地図を作成した後は、決めていた通り17階層へと続く階段の前で、再びの吹雪を待った。
果たしてそれは、前回止んでからおよそ2日経って始まった。
オフェーリアは丸一日様子を見てからオークを5匹取り出して、雪で真っ白になった地面に置き、離れたところで監視を続けていたところ、間もなく吹雪が止んだ。
そしてダンジョンがオークを捕食していく。
その様子を見ながらオフェーリアは誰に聞かすわけでもなく呟いた。
「ふ〜ん、“餌”は人でも魔獣でも、どちらでも良いと言うことね。
あとはどれだけの間、吹雪が止んでいるかだけど……」
この後、注意深く観察した結果、やはり2日間は止んでいるようだ。
「まあ、これ以上はギルドの方に任せましょ。
私たち、最低限の義務は果たしたわよね?」
「十分だと思うぞ。
第一、本来俺たちが骨を折ることじゃないだろう」
「まあ、帰りも通るわけだしね。
情報は持ってた方がいいよ?」
さて、と踵を返したオフェーリアが天幕を収納し始めた。
「やっと17階層に進めるよ。
向こうもまともだったらいいんだけど」
オフェーリアはそろそろ採取に勤しみたいと思う。
「俺はぼちぼち身体を動かしたいな。
手応えのある魔獣がいればいいんだが」
「ちゃんと解体してくれるのなら料理してあげるよ」
「よし、アースドラゴンの類いがいればいいな。
オークやミノタウロスの上位種も美味い」
マティアスはすっかりその気である。
「アースドラゴンかぁ。
ドラゴン系は手がかかるけど美味しいよね。
マティアス、楽しみにしてる」
そんなふうに雑談しながら階段を降りていくと、眼前に現れたのは鬱蒼とした森だった。